2011/02/28

MAKE ME CRY




シャー シャー シャー シャー

トンッ



カンッ

ズンッ


タンッ


トンッ




タンッ



カンッ

ズンッ




二月最終日の夜中

午前三時半

僕は庭と隣接している書斎で寝ていた

my eyes were closed

何かが きこえた

シャー シャー シャー シャー

僕の意識は夢と現実の間まで戻ってきた

but my eyes were still closed

体も動かない

耳だけに命がふきこまれていたようだった

静かな書斎

耳をすます 僕

とてもきれいな

音が きこえる

きこえる

not just one sound

暗闇で包まれた書斎の壁をこえたむこうに

色んな音色が きこえる



トンッ



カンッ

ズンッ


タンッ


僕は

錯覚におちいった

まわりには誰もいない

空席のだだっ広いホールの中心で

僕は一人で演奏会をきいていた

とっても気持ちがよかった





僕の意識は完璧に現実にいた

神経が研ぎ澄まされる

雨の音がかすかに きこえ はじめる

外で雨が降っている

そうか

僕はまた 耳をすます


トンッ



カンッ

ズンッ


タンッ




笑い声がきこえる

庭にある

岩や

バケツや

縁側や

水槽や

室外機の上に

飛び込んで落下し

さまざまな音色を奏で 遊ぶはしゃぐ 一つ一つのシズクたち






僕の目はあいていた

時計を見た

午前三時半

演奏会はまだ続いていた

お客はやっぱり僕だけだった

頬が

シズク



濡れていくのを感じた

午前三時半















































2011/02/12

今夜

今夜 



美しい

霧の中

自転車のペダルを こぐ

雨上がりの

おいしくて  

なつかしい 匂い

空を見上げる

光が広がる

あの日を

おもいだす

あの人を想う

あの朝方を

霧に包まれた

黒い空 と 

目の前に広がる 

カラの 道路

僕達は二人きりだった

無言の車内

耳に入ってくる音は

あなたの歌声と

心臓の音

だけ




でした